2020年6月15日(月)から始まった2週間の不動産テックウィーク2020(The Retech Week 2020)も27日(土)でイベントが終了しました。26日(金)は「東南アジアの最新不動産テック事情」をテーマにパネルディスカッションが行われました。
最終日27日(土)は「The ReTech Week2020総括~これからの日本の不動産市場~」をテーマに2週間のイベントの振り返りとこれからの不動産市場と不動産テックについてパネルディスカションが行われました。
27日(土)のセミナーの内容をレポートしましたので、不動産テック関連のイベントの参加や不動産テック協会ご加入の検討にお役立てられたらと思います。
また、「Retech Week」のセミナー資料の閲覧は不動産テック協会に加入されている会社様のみとなっておりますので、ITの導入をご検討されている会社様は、この機会に是非ご入会いただけると不動産テックの情報が沢山手に入ります。
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最終日イベント詳細
第一部では2週間のRetech Week 2020の振り返りと不動産テック協会顧問の下記の2名によるパネルディスカッションが行われました。
テック協会顧問によるパネルディスカッション
- 榎本 英二氏(野村不動産アーバンネット株式会社 代表取締役副社長)
- 北川 登士彦氏(東急住宅リース株式会社 取締役会長)
第二部ではこれからの日本の不動産市場と不動産テックについて12名でパネルディスカッションを行いました。
- 赤木 正幸氏(リマールエステート株式会社 代表取締役社長)
- 榎本 英二氏(野村不動産アーバンネット株式会社 代表取締役副社長 )
- 北川 登士彦氏(東急住宅リース株式会社 取締役会長)
- 巻口 成憲氏(リーウェイズ株式会社 代表取締役)
- 浅海 剛氏(株式会社コラビット 代表取締役社長)
- 一村 明博氏(株式会社ZUU 取締役)
- 岡村 雅信氏(ダイヤモンドメディア株式会社 代表取締役)
- 落合 孝文氏(渥美坂井法律事務所 弁護士)
- 滝沢 潔氏(株式会社ライナフ 代表取締役社長)
- 武井 浩三氏(株式会社eumo CJO)
- 名村 晋治氏(株式会社サービシンク 代表取締役)
- 西浦 明子氏(軒先株式会社 代表取締役社長)
2週間の総括
6月16日(火)「不動産データ活用とオンライン化の現状」
- 不動産のデータ化の流れの歴史を説明。
- 不動産のデータ公開の開示はまだ進んでいない。2020年民間のサービスが充実している中、国交省が主導でデータベースの必要性があるか再検討。
- 取引のオンライン化は法律の縛りは書面の交付のみなので、郵送でもできることが現状。
- 不動産のオンライン取引の販売率は低いが、今後オンライン販売率が上がってくるのではないかと希望を持っている。
6月17日(水)「不動産テックカオスマップ最新版公開」
- 不動産テックのカオスマップの最新版。増え続けているが、カテゴリーによっては増え方に差が出ている。業務支援系は増えているが、VRやIoT系は減っている。
- 今回のカオスマップでは、まだ新型コロナの影響は出ていない。仮に今秋にカオスマップを作るとなれば、新型コロナの影響が出てくるのではないか。
6月18日(木)「アメリカの不動産テックの現状」
- アメリカはコロナの影響、デモの影響で不動産業界自体が転換期に入っている。
- 不動産業界自体のテック化が進んでいた。良い意味で後戻りすることはないのではないかという見解。
6月19日(金)「アフターコロナの賃貸仲介とDX」
- DXなどの取り組みに貪欲に賃貸仲介が対応していた。管理会社の要望に合わせて対応している。
- オンライン内見の使い方でも、オンライン内見だけで解決するのではなく、実際に内見をするお客様が多いなど、取り組みの結果から改善点が出てきている。
- 賃貸仲介はオンライン化に積極的に取り組み、ノウハウを積んでいる。
6月20日(土)「不動産学術研究の最前線」
- コロナの影響を受けていることを数式に当てはめて説明。
- アカデミックな内容が多かった。
- ブロックチェーンの技術を使って、デジタルの知識を深めていく。
6月21日(日)「不動産業界におけるテレワークのあり方」
- オンラインでの営業のやり方についてのポイントを整理。
- オンライン営業の仕組みのポイントを抑えていた。家でも会社と同じ服装が大事など、オンライン営業の最前線を説明していた。
6月22日(月)「国内外スタートアップ動向から紐解くProptechのトレンド」
- アメリカと日本の不動産テックマーケットの比較
- VCの目線から、アメリカと日本の企業例を挙げて説明
- 様々なジャンルの企業が出ていた。テレワークや遠隔操作などに合わせたサービスも出てきていた印象。
6月23日(火)「今後の賃貸不動産業界とデジタルトランスフォーメーション(DX)」
- 今後、管理会社様はどのように経営していけば良いか。
- 自社でやっていたことをスライドにまとめて実際に行った取り組みを説明。
- エンドユーザー視点を持てる会社が生き残り、エンドユーザの立場を考えたDX化が必要。
6月24日(水)「COVID-19で変わるスマートシティのあり方」
- スマートシティの取り組みは日本でも静岡、竹芝でもやっている事例を紹介。
- コロナで人の移動がなくなった
- データをどのように扱うのか、日本はデータ生成させている現場での連携が難しい。
- 価値観が変わっていく。大学にいく必要なく、授業が受けられたらオンラインでいいなど。
- 住環境も変わっていくのではないか。データ連携を軸に変わっていくのではないか。テレワークの影響で生活スタイルも変わるのではないか。
6月25日(木)「不動産クラウドファンディングと不動産STOの最新動向」
- 不動産クラウドファンディングはどのようなスキームが多いのか説明。
- セキュリティトークンとSTOについても説明。日本は法改正されたばかりで事例がないので、イギリスやアメリカの実例を挙げて説明。
- 不動産クラウドファンディングとSTOの使い分け。不動産クラウドファンディングは小口取引が使いやすいのではないか、STOはセカンダリーマーケットができていないので、どのようにやっていくかなどの議論が行われた。
6月26日(金)「東南アジアの最新不動産テック事情」
- マレーシアはデータの整備が進んでいる。誰でも成約価格が見られるように政府が管理している。
- レインズのようなものはないが、ポータルサイトで不動産取引価格が見られる。
- 成長市場なので、これからデータの分析のニーズが出てくるのではないか。
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Pick up
第一部:不動産テック協会顧問によるパネルディスカッション
- 東急住宅リース株式会社 取締役会長 北川 登士彦氏
- 野村不動産アーバンネット 榎本 英二氏
新型コロナウイルスの影響と緊急事態宣言発令後にどのような対応を行なったか
- 北川氏:約7割の社員を緊急事態宣言後に在宅ワークに移行。意外と在宅ワークできた。今は5割がテレワークを行なっている。
- 榎本氏:店頭営業をやめる。2割~3割がシフト制で出社。在宅は電話とメールで対応した。
今後のテレワークは継続していくのか?
- 北川氏:9割の社員はテレワーク希望。テレワークをベースにした事業に変換予定。自宅と会社両方にパソコンとモニターを配布。Web飲み会に会社からお金を出すことで、コミュニケーションを活発にさせる。
- 榎本氏:テレワーク継続しつつ、対面の大切さに気づかされた。ベストに組み合わせることを考える。今は、①第二波に備えたシナリオを作成、②生産性をあげる。使えた部分と使えなかった部分を議論できた。
過去の市場変化(バブルやリーマンショック)にどう対応したか?
- 北川氏:バブルの崩壊。土地の価格が一気に下がり、不動産の評価の仕方も変わった。外資が一気に参入してきて不動産市場が変わった。金融機関、生命保険、証券会社が倒産の連鎖。当時は不良債権を処理することが課題だった。様々な不動産の種類を一気に処理しなければならない、売り方のコンサルティングが社会課題。
不動産売買も売り方が変わり、昔は最初にオファーを入れた人に売る、貸すだったが、入札制度を導入に変更した。
大事にしていたのは、仲介に具体的な業務を専門化させること。破産した金融業界などからも人材を入れ、新しい形でスタート。他社がやれないことをする。電話で情報をとり差別化を図ることで社会課題に対応している。
- 榎本氏:1992年に不動産バブル崩壊。バブル崩壊後の後処理。1997年に欧米系のファンドが日本進出するという話がきて、ファンドを開始。外資だけでなく日本も広げていこうとなったのが2000年代前半。リーマン後、株式マーケット影響を受けにくくするために、不動産の価格に連動しているのを作るために、非上場型と言われている「私募リート」立ち上げた。
コロナは人々の生活や考え方を変える形。在宅にするのかは、すぐに結論づけられない。石油ショックのような社会が変わる出来事に似ている。
不動産テックの導入状況と経緯について
- 北川氏:2015年の3社統合をきっかけに新しい賃貸管理業を目指すことを理念にあげる。様々なITベンチャー会社に話を聞き、新しいテクノロジーを作るための情報収集を行う会を作る。不動産テック企業はよく見てくれていた。
- 榎本氏:ファンドを行っている時の野村不動産アーバンネットを設立。2000年不動産サイト「ノムコム」というポータルサービスを設立。当時は店舗数が少なかったので、情報を重視の方向に舵を取り「ノムコム」のポータルサイトを作成。オープンにデジタル化を進めていった。20年前から今まで改良を続けている。
不動産テック協会、不動産テック企業に期待すること
- 北川氏:管理に特化したサービスが多いが、アセットの部分のサービスが足りていない。不動産業界にステークホルダーは金融業界などステークホルダーとの関連性している。不動産業全体を連携させるようなサービスが出てくればと思う。情報の関連性をより良くサービスを期待している。
- 榎本氏:不動産のファンド、Jリートも当時は伸びていきたいために頑張っていた。伸びるためには、横の連携が必要。連携をしていくためには不動産テック協会は重要なプラットホーム。テックを作る側、利用する側を公平に判断する役割が不動産テック協会。特に利用側の目線に立つ。協会として、行政との関わり。行政に理解してもらうための働きかけを不動産テック協会が行うことが大切。ネットワーク作りは不動産テック協会の重要な役割。
第二部:不動産テック協会理事によるパネルディスカッション
不動産データ活用とオンライン化、今後どうなっていくか
- 巻口氏:日本以外は登記簿謄本に不動産価格が登記されているので透明性が高くなっている。日本の登記簿謄本には不動産取引価格が載っていないことが課題。今のスピードでは、世界に取り残される。民間企業は民間企業でデータ連携を行なっていくしかない。
- 浅海氏:日本はデータが整備されていない。ないものは仕方ない。ないなりにやれることをやる。ないからできないではなく、やらなければ進まないのでやるしかない。
- 滝沢氏:不動産テックに加入している企業のデータはいいものは沢山ある。各社のデータを連携させることができたら良いものができるのではないか。
- 武井氏:ないものはない、ない中でやっていくしかないのが民間で、海外と比べると遅れているので、国に働きかけるためには公共性のある団体を作るしかない。
- 北川氏:仲介会社同士が競争している、他社が何をやっているかはわからない。しかし連携していかないといけない。何のためにするのかを明確にしなければいけない。本当に消費者(不動産会社)が望んでいるのは何かを改めて明確にする必要がある。
アフターコロナの不動産賃貸業界の変化は?
- 岡村氏:ユーザーのためという方向性で進める。オンライン内見の例では、技術的にはできるが、直接内見は必ず行うなど、使うことによって、できることや課題が見えてきた。積極的にサービスを使う企業が増えると不動産テックの現場のフィット感がわかる。
- 榎本氏:売買仲介でも不動産テックを使っている。昔は店舗にいかなければわからなかったことが、SUUMOやノムコムのようにオンラインで見られるようになった。エンドユーザーが事前に調べて来店するなど行動も変わっている。
不動産業界におけるテレワークのあり方。テレワークでのキャリア形成。
- 名村氏:最初はテレワークを考えていなかったが、2月くらいに考え始めた。メンタル面のケアが不安だった。テレワークでの不安は場所の問題ではく、メンタルの面が不安だった。出社ができないことへのストレス。人事とのコミュニケーションを積極的に行った。会社に帰属しているという意識が変わってくる。ハードの面ではオフィスの存在意義。ソフトの面では、人の気持ち、感情、仲間意識のケアが重要となる。遠足前日のような高揚感でテレワークを行なっており、テレワークの本質を理解できていない。オンとオフの切り替えをどのようにケアをしていくか。フルオンラインでどのような価値を提供するか、オフラインでどのような価値を提供するかが大切。
- 北川氏:メンタルの部分が心配している。キャリア形成では、一人一人がどうしていくかが重要。企業として面白い仕事をして、人をひきつける。
- 榎本氏:メンタル面は心配していた。出社はみんなの顔が見えるので、雑談ができたが、在宅になりわからなくなってきた。各若手の店長が毎日15分くらいでミーティングを実施させるなど、コミュニケーションを積極的にやっていた。フル在宅ワークやっていた人も、アイデアの構想などに支障をきたすことから、週2の出社を希望した。うまく組み合わせることが重要。
業務研修をオンラインでやるようになった。全員の顔が見ることができ、どのように人から見えているか意識できるところが良い点。オンラインで教育、研修がうまくでき、距離が縮まるケースもあるので、今後うまくミックスさせることが必要。
不動産クラウドファンティング、STOの流れは続くのか?
- 落合氏:出資の仕方もどういう人達で、どういう形で説明された方がいいのか集め方が良いのか模索している。不動産クラウドファンディングはコストが安くなることが見えているので、少額なものでファイナンスしていくのに使う。社会課題解決型のためにお金を集める。寄付型と投資型の合いの子みたいなのも出てくる。
STOはコストがかかる仕組みになると思うので、大きいものでも成り立つものなのか日本では重要なテーマになる。STOは実験段階である。
- 一村氏:業界全体を巻き込むことが今後必要になっていく。イベントを通じて多くの人が関わることで、2000年代前半のような金融変革に似た状況になるのではないか。
今後の不動産テック関連イベントスケジュール
2週間のRetechWeekは終了しましたが、7月以降も不動産テック関連のセミナーは多く開催されます。引き続き、Webセミナーを通じて不動産テック関連の情報収集や、不動産テック関連のIT導入の検討にお役に立てたらと思います。
サービシンクは7月以降もWebセミナーを開催します。
- 7月2日(木)17時00分~18時30分に株式会社いい生活様と共同Webセミナーを開催。
- 7月9日(木)17時00分~18時00分にヒトワークス株式会社様と共同Webセミナーを開催。
〈不動産テック関連のセミナー情報はコチラ〉
https://atlicu.jp/blog/tech/1662/