前回と前々回のブログでは、2019年の新社会人に対するアンケート「部屋探しであると便利だと思う機能は?」の結果と、1位「360°写真の画面で内覧」、2位「VR内覧」についてご紹介しました。今回は3位となった「IT重説」について取り上げ、注目されているサービスもご紹介します。
2019年の新社会人に対するアンケート✳︎
1位:360°写真の画面で内覧
2位:VRで内見
3位:IT重説
4位:遠隔内見
5位:AIを活用したオンライン接客( 希望条件に対し、おすすめの物件情報を提示してくれるなど)
IT重説についておさらい
貸契約における借主への重要事項説明は、1971年の宅地建物取引業改正時より、宅地建物取引主任者(現在の宅地建物取引士)が「対面」で重要事項説明することが義務となっていました。しかし2017年10月に本格運用開始されたのが、「IT重説」。これは、従来対面で行われてきた賃貸借契約における借主への重要事項説明を、テレビ会議システム等のITを活用することで遠隔地にいながら非対面で行うもので、国土交通省が定めている遵守事項は下記5つです。
重要事項説明書等の事前送付
重要事項説明書等の準備とIT環境の確認
宅地建物取引士証の提示と確認
IT環境に不具合があれば中断する
お客様側と業者側にはどんなメリットが?
お客様:例えば遠方へ進学するため大学の近くで下宿先を探し、後日改めて両親が契約者として遠方の宅建業者を再訪問する場合などは、交通費や時間の負担が大きくなりますが、この負担が解消されます。
不動産業者:顧客の立場を配慮した利便性提供をすることで、信頼獲得やイメージアップ、競合との差別化が期待できます。
お客様:従来は「店舗への移動時間+重説を受ける時間」が必要でしたが、「店舗への移動時間」が削減できます。また滅多に自宅を離れられず店舗訪問可能な日時候補が少ない方でも、在宅で重説が受けられれば、候補日時幅が広がります。
不動産業者:繁忙期でも日程が組みやすくなり、社内にIT重説専門部署を設置するなどすればさらに業務効率化にも繋がります。
お客様:不動産取引の契約には不慣れな方が多いため店舗では緊張してしまう場合もあり、さらにその場で初めて見た契約書の内容を理解するのは簡単なことではありません。自宅であれば普段と変わらない環境で受けることができますし、IT重説では契約書の事前郵送が義務付けられているため不明点を認識した上で臨むことができ深い理解が可能となります。
不動産業者:顧客があらかじめ不明点を把握していれば、質疑応答がスムーズに進みます。また契約内容についての誤解を防ぐことができれば、入居後や退去時のトラブル削減にも繋がります。
お客様:怪我などで外出が困難な場合でも、代理人ではなく本人が対応することが可能となります。
不動産業者:本人と直接意思疎通することで、認識齟齬を防止できます。
この他にも不動産業者側には、説明内容を録音して残せば万一の入居後のトラブルの際にも役立つというメリットがあります。
テレビ会議?Web会議?無料ビデオチャット?どれを使う?
SkypeやLINEなどの無料ビデオチャットアプリやツールもありますが、音声や画像品質、録画録音機能の有無、セキュリティ上の問題も不安視されることから、IT重説専用の有料サービスが続々と登場しています。
IT重説に特化したシステム。
初期費用:10,000円 月額費用:10,000円/1ID マニュアル提供、コールセンター対応
録画機能あり。オンライン接客、オンライン内見機能は別途費用
IT 重説とオンライン内見のサービス。LIFULL HOME’Sからの反響も期待できる。
初期費用:50,000円 月額費用:10,000円(回数無制限) 電話による無料トレーニング 、推奨機器1セット進呈 (WEB カメラ、ヘッドセット)
録画機能、オンライン接客、オンライン内見機能あり。
オンライン内見サービスのLIVE機能を、IT重説に利用します。
初期費用:15,000円 月額費用:15,000円(利用回数無制限) マニュアル提供、コールセンター対応
録画機能、オンライン接客、オンライン内見機能あり。
この他にもIT重説専用ではありませんが、十分な画質と音質でありながら利用しやすい価格帯となっているMicrosoft Officem 365の有料機能を全日本不動産協会が推奨しています。
十分な画質・音質で利用しやすい価格帯が強み。
初期費用:0円、月額利用料:540円
安価なものから機能が充実したそれなりの金額のものまで、様々なサービスがあります。自社にあったサービスを選定し、運用してみてはいかがでしょうか?
✳︎2019年マイナビ賃貸、全国賃貸住宅新聞掲載