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不動産VR内見のメリット&デメリットとサービス5選

2019.09.26 更新

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VRとは「Virtual Reality (バーチャルリアリティー)」の略称で、専用のゴーグル(ヘッドマウントディスプレイ)を装着して映像を見ることで、コンピューターが作った臨場感溢れる視覚世界を体感できる技術のこと。日本語では、「仮想現実」とも呼ばれています。ゴーグルを利用したVRでは、顔の向きに合わせて360度・上下左右に、実際に自分の身体が存在する空間とは異なる仮想空間が眼前に現れます。

この技術を利用したサービスは、ゲームや映画、遊園地のアトラクションの一部として導入が始まり、現在はパイロットや医療従事者などの訓練、米国ウォールマートではなんと従業員の研修にも利用されているそうです。

一方の不動産業界では、2016年頃から内見にVRが用いられています。「VR内見」とは臨場感あふれるVR映像を利用した内見体験のことで、現地へ足を運ばずに物件を選ぶため、あるいは現地へ足を運ぶ前の絞り込みのために活用されます。最近は、不動産会社各社のウェブサイトで「VR内見可能物件の特集」が設けられるなど、注目のテーマとなっています。

 

導入するorしない? VR内見メリット&デメリット 

まだまだ多くのお客様にとって新鮮さのあるVR内見ですが、使い方によって長所短所は出てきます。不動産会社が導入する場合のメリットとデメリットを解説していきましょう。

メリット

1. 業務効率の改善
2. 成約率アップ
3. 集客効果アップ

メリット1. 業務効率の改善

VRを活用すると、不動産業の皆さんもお客様も物件がある現地に足を運んだり、管理会社と連携したりする時間を削減できます。時間の削減になるうえ、管理会社の定休日や他の内見客との時間調整などの制約に縛られません。

また臨場感あるVR内見で関心のある物件を絞り込んでから実際の内見に行けば、契約に至る確度が向上します。時間をかけて現地内見に行ったけど、大きな期待外れで空振りに終わるといった無駄を防止することができます。

メリット2. 成約率アップ

VRを活用することにより1件あたりの内見時間の短縮が可能になるので、一人のお客様に提案できる物件数を増やすことができます。また、言葉のやりとりだけでは伝わらない物件イメージも、VRで共有することで的確に提案できますし、建設中や入居中の物件でもVRであれば内見体験を提供することが可能です。

臨場感のあるVR内見ができれば、実際の内見をできずに成約する場合でもお客様は納得感が得られます。結果として成約率アップへ繋がると期待されます。

メリット3. 集客効果アップ

VRはまだまだ新しく体験してみたい人が多いサービスですから、「VRで物件の内見ができます」「わずか2分で物件の内見可能」などの訴求は、お客様の関心を集められます。VRコンテンツをWeb上で提供することによって、実店舗への集客に繋がる可能性も高まります。

また遠方の物件探しをしているお客様にとっては、VR内見で部屋を決めることができれば現地への移動時間や交通費節約になるので、VR内見を提供している不動産業サイトは魅力的です。

 

デメリット

1. VRでは確認できない点もある
2. 物件の周辺情報は見られない
3. VR酔い

デメリット1. VRでは確認できない点もある

VRではフローリングの質感や壁の傷、日光がどれだけ部屋に入ってくるかなど、細かい部分は再現できません。室内設備の建てつけの良し悪しや、配置が自分にしっくりくるかなど、実際に肌で感じる部分においてはVR技術が進歩しても再現が難しく、実際に足を運んだ方が間違いはありません。

デメリット2. 物件の周辺情報は見られない

現地内見の場合は、周辺が静かな場所なのか、近所にスーパーがあるか、共有部分の管理が行き届いているかなど、室内以外の情報も一緒に把握することができます。しかし、VR内見で見られるのは室内の映像に限られるため、その部分には対応できません。

デメリット3. VR酔い

個人差はありますが、人によってはVR映像を体験すると「VR酔い」をしてしまい気分を悪くすることがあります。よって不動産会社側としては、VRゴーグルを使わずにタブレットで見られるようにしておく、という配慮もあると万全ですね。

 

選べる!VR内見サービス5選 

それでは実際にはどのようなサービスが利用可能なのか、5つのVR内見サービスをご紹介します。

1.ROOV

ROOV」は、株式会社スタイルポートが提供するVR内見サービスです。同サービスではパソコンやタブレット端末があれば、Web上でいつでもどこでも自由に物件のVR内見ができます。また内見できるだけではなく、画面上に家具を置いたり壁紙や床の色を変えたりもできます。

2.PANOCLOUD 360

PANOCLOUD 360」は、凸版(トッパン)印刷株式会社が提供するVR制作サービスです。同サービスでは、横方向に長くダイナミックなVRコンテンツを作ることができます。撮影機器は、360度撮影がワンタッチで可能なカメラ「RICOHのTHETA」に対応。また、実際に撮影した画像以外に、Googleストリートビューから描き出した画像を使用することもできます。

3.houseVR

houseVR」は、VRbouz株式会社が提供するクラウドサービスです。「RICOHのTHETA」などで物件を撮影し、画像をアップロードするだけで、Webサイトや店頭で公開できます。スマートフォンでアクセスして、VRメガネにセットするだけで、まるで部屋の中にいるようなVRサービスを提供可能です。

4.Spacely

Spacely」は、株式会社スペースリーが提供するクラウドソフトです。360度のVRコンテンツが簡単に制作できるクラウドソフトで、誰でも素早く編集することが可能。クラウド上にパノラマ写真を保存・管理しながら編集できるほか、機材は何を使っても良いことが特徴です。ホームページへの埋め込みや利用・管理も行えます。

5.ZENKEI 360

ZENKEI 360」は、全景株式会社が提供するクラウドソフトです。撮影器具は「RICOHのTHETA」に対応しており、360度写真をクラウド上で編集・管理・閲覧することができます。また、最短10分でVRコンテンツを作成可能です。

 

参考:ちなみに「AR」って??

最後に、VRと似た言葉で注目されている「AR」について解説します。VRが「Virtual Reality(バーチャル・リアリティ)」=「仮想現実」であるのに対して、ARは「Augumented Reality(オーグメンテッド・リアリティ)」=「拡張現実」を指します。前者は、専用ゴーグルなどをつけて仮想空間を体験しますが、後者はスマートフォンのカメラで映し出した現実空間に仮想空間を重ね合わせることで、現実を「拡張」する技術。カメラアプリの「snow」やゲームアプリの「Pokemon GO(ポケモン ゴー)」が代表的な事例です。

不動産業界のARサービスからも、例として2つをご紹介します。

1.いえみーる

1つ目は不動産検索ARアプリの「いえみーる」は、街中にあるマンションなどをスマートフォンのカメラで撮影すると、画面上に空室の物件情報が表示してくれるサービスです。

2. RoomCo AR (ルムコエーアール)

インテリア試着アプリであるこのサービスでは、スマートフォンで自分の部屋を写し、画面上にインテリア用品などの実物大の3Dデータを自由に配置しすることができます。自分の部屋に家具などを配置した場合のイメージをシミュレーションすることができます。

VR内見は、皆さんの業務もお客さまの家探しコストも効率化してくれるサービスです。お客様の検討段階やご事情に応じて、または現地内覧と組み合わせて活用することで、お客様の満足度は高まるのではないでしょうか。是非導入を検討されてみてはいかがですか?

 

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