「不動産テックウィーク2020(The Retech Week2020)」9日目
2020年6月15日(月)から始まった、不動産テックウィーク2020(The Retech Week)も8日目を終えました。23日(火)は「今後の賃貸不動産業界とデジタルトランスフォーメーション(DX)」をテーマに、講演とパネルディスカッションが行われました。
今後の賃貸不動産業界とデジタルトランスフォーメーション(DX)がどういった形で、融合されてサービスが生まれていくか?を説明しました。8日目の22日(月)のウェビナーレポートに続き、今回も23日(火)のレポートをお届けします。
今回も22日(月)のウェビナーレポートがThe Retech Weekの参加や不動産テック協会のご加入の検討にお役に立てたらと思います。
また、「The Retech Week」のセミナー資料の閲覧は不動産テック協会に加入されている会社様のみとなっておりますので、ITの導入をご検討されている会社様は、この機会に是非ご入会いただけると不動産テックの情報が沢山手に入ります。
〈イベントのお申込みはコチラ〉
https://retech.doorkeeper.jp/events/106917
9日目イベント詳細
下記5名が登壇し「今後の賃貸不動産業界とデジタルトランスフォーメーション(DX)」をテーマにパネルディスカッションが行われました。
- 岡村 雅信氏(ダイヤモンドメディア 株式会社 代表取締役)
- 石村 裕樹氏(ウェルスパーク株式会社)
- 深澤 成嘉氏(株式会社アミックス)
- 佐瀬 篤史氏(東急住宅リース株式会社)
- 及川 純氏(ミサワホーム不動産株式会社)
Pick up
第一部 「今後の賃貸不動産業界とDX」
新型コロナウイルスが変化させたもの
- コロナ渦を生き残る戦略概念的な枠組み:現時点(6月時点)以降の回復期、売りの仕組み再構築、業態改善実施が必要。トップライン(売上高)対策から持続可能なボトムライン(利益)対策。
- 来店数、売上高がビフォーコロナに100%戻る事が考えにくい今、ニューノーマル(新たな仕組み)を構築しないといけない。現状がビフォーコロナの70%まで戻す事が出来たとして、売上を上げるのかコストカットを行うのか、判断が必要。
- 売上増加に繋げる施策として管理戸数を増やす+管理戸数あたりの単価を上げる事が考えられるが「限界」がある。そこでDX化による「コストカット」が重要になってくる。
これからの不動産業界とDX
- 見えてきたトレンドとして、分散型都市、ニューリアリティ(オンラインとオフラインの価値の再定義)、職住融合、コンタクトレステック(非対面前提に業務プロセス)、DX(ニューノーマルに欠かせないテクノロジー)の5つがある。
- アフターコロナでは、OMO(Onkin Merges Offline)オンラインとオフラインの融合が重要。今までは賃貸仲介の基本はオフラインであったが、これからは、Web案内やオンライン内見など、オフラインとオンラインが混ざっている状況になる。
- 顧客の価値観が変わってきているので、顧客ニーズに合わせてオンラインとオフラインの両方の窓口を持つことが重要。
- サービスを入れても活用出来る人材・不動産・テクノロジーの3本柱がうまく回らない取り入れてもコストが増えるだけで終わってしまう。
DXの目的は大前提、企業価値最大化である。
- 業務の平準化、賃貸管理業×徹底DXを促進する
- 組織・人材の育成スピードの高めていく
- 社員1人1人がエンパワーメントする組織にする
- 魅力ある企業として優秀な人材を採用継続する
まとめ
- 業界視点ではなく顧客視点に立ち返ること。
- 誰の為にDXを行うのか?顧客にとって有益な物でないと意味がない。
第二部 パネルディスカッション
コロナでどんな変化があったか?
- 新型コロナウイルスをキッカケに、DX化を取り入れる事へのハードルが下がっており現場社員から「こういったサービスはどうか?」と声が上がる事が増えてきた。
- 遠方の会社で合ったとしてもzoom等で連絡を取る事が出来て、商談フェーズが短くった。商談数も1.8倍近く上がり、テクノロジー導入に対して明確なメリットを現場レベルから感じる事が出来たのは大きい。トップダウンで始めたとしても、賛同を得やすい状況ではないか。
コロナ渦での管理会社のテレワークの取り組みについて
- コロナ前は、繁忙期に人員計画失敗により社員の残業がMAX。繁忙期のたびに派遣社員を増員していた。人づてにリーシング専用のコールセンターを紹介され、繁忙期には電話が鳴らないリーシング課の残業がなくなる。
- コールセンターが在宅化となり、テレビ会議はZoomやTeamsを活用。リーシングの電話はメールへ、エビデンスが残れば良い。FAXはPDF化したものを、PC経由でFAX送信。紙は基本的にドキュメント管理ツールにて一元管理。ネット環境はモバイルWi-Fiのレンタルを実施。
- 課題としては、勤怠管理(残業含む)の問題。自宅で通勤もない為、働きすぎてしまう傾向があったので、こまめに勤怠管理を実施していく。またデュアルモニターがない社員や自宅に事務デスクと近しいサイズ(作業環境)の机がなく効率が下がった事例もあった。テレワークが必ずしも効率化に繋がるとは限らない。
DX化は誰の為にやっているのか?どう変わっていくのか?対話が必要
- DXを導入するにあたり現場社員への説明に、最も時間を割くようにしている。誰の為に実行するか?何が改善されるのか?実際に使う現場スタッフの理解を得ないまま、トップダウンで決める事で失敗する。無料で扱えるサービスでも改善出来る部分は多々ある。
- まずは1つでも取り入れてみて「業務改善」の成功体験を積ませて、ボトムアップさせるような仕組みが出来ると良い。
今後の賃貸不動産業界はどうなっていくのか?
- どうなっていくのか?ではなくどうしていくのか?という考え方にシフトする。ユーザーのニーズに対してどういった新しい価値を生み出していくのか考えていく。オンラインに全て変えるのではなく、ユーザーの多様性に合わせて選択肢を増やす事が重要。
- デジタル化においても「インターネットにない温度感」は一定求められるのではないか?部屋探しをしている時のワクワク感、実際に内見をしている時に自分が住む想像をしている瞬間など。デジタル化にしたとしても、オンラインの中にオフラインをどう残すのか?は業務の棚卸しをして考える。
- DX化していく前に顧客管理をしている社員がとてつもなく忙しい、業務効率した分を社員にどう還元するのか明文化していく。
参加者のからの質問
23日(火)のセミナーでも多くの質問が寄せられましたので、質問の一部抜粋して紹介します。
- 業務のデジタル化やシステム化が当たり前になりそうですが、ウチのような事業規模が大きくない、所謂マチの不動産屋さんの場合、管理業務における有償ツールの費用負担が重たいのですが、業務のデジタル化が鈍い会社とデジタル化が進んでいる会社ではオーナー様やお客様からの選ばれ方に差がでるでしょうか?また、その差は大きいでしょうか?
- 自社でDXを取り入れるとして、どういった流れ・基準で進めていくのが良いのでしょうか?
- 仲介店舗のオンライン内見については、利便性よりも業務工数の増加など、弊害も多くある気がします。カスタマーの方の価値観の変化は現状どの程度浸透しているのか、数的なファクトがあればぜひ教えて頂きたいです。
- 今後都心部でも空き家が増加し、戸建ての賃貸供給が増えるのではないかと考えています。リモートワーク等の浸透により戸建ての賃貸需要が増えると思いますが、今後都心部で戸建ての賃貸が増える気配はありますでしょうか。
このように参加者から多くの質問が寄せられております。ここでは紹介しきれない数の質問が寄せられており、「The Retech Week」の質疑応答の時間も盛り上がりを見せております。
質問の回答が気になる方は、ぜひセミナーへご参加ください!
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今後のイベントスケジュール
- 6月24日(水)DTA連携コンテンツ
- 6月25日(木)不動産金融部会コンテンツ
- 6月26日(金)Property Access連携コンテンツ
- 6月27日(土)The Retech Week 2020総括パネルディスカッション
※6月27日(土)は18時からの開催となります。
不動産テック協会会員様限定の特典としてThe Retech Week2020のセミナー動画を後日閲覧する事ができます。
〈不動産テック協会入会を希望の方はコチラ〉
https://retechjapan.org/
今後の開催内容
6月24日(水)は「COVID-19で変わるスマートシティのあり方」をテーマに19時から開催します。
〈イベントお申込みはコチラ〉
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